
趣味のコレクションや高額な道具は自己破産でどうなる?「20万円の壁」と換価処分の実際
お気に入りのコレクションを揃えたり、高性能な趣味の道具に投資したりすることは、日々の生活を豊かにする楽しみの一つです。しかし、これらの支出が嵩んで借金に繋がり、自己破産を検討する段階になった時、「せっかく集めたコレクションや高価な機材はどうなってしまうんだろう?」と不安に感じる方は少なくありません。
自己破産の手続きにおいては、「20万円以上の財産は換価処分の対象となるのが原則」というルールがあります。これは、破産手続きを進めるにあたり、債務者の財産を現金に換えて債権者へ公平に分配するという目的があるためです。
しかし、実際の運用では、この「20万円の壁」には少し複雑な側面があります。
「20万円の壁」とは?
自己破産における換価処分の対象となる財産は、原則として個別の財産の評価額が20万円を超えるものとされています。例えば、一台20万円以上の高級時計や、一枚20万円以上の絵画などがこれに該当します。これらの財産は、破産管財人によって売却され、その代金が債権者への配当に充てられることになります。
コレクションや趣味の道具の評価額の現実
ここでポイントとなるのが、「購入価格」と「現在の時価額(評価額)」の違いです。
ご提示いただいた情報にもある通り、動産(持ち運び可能な物品)については、一度購入すると中古品となり、その時価額は大きく下落するのが一般的です。
例えば、購入時には30万円したカメラのレンズでも、数年経過したり、新型モデルが出たりすると、中古市場での価値は10万円以下に下がることも珍しくありません。同様に、限定版のフィギュアやスニーカー、高級自転車なども、購入直後であれば高値が付く可能性があっても、時間が経つにつれて価値が下がり、個別の評価額が20万円を下回るケースが多く見られます。
そのため、たとえ購入時に20万円以上した物品であっても、購入直後でなければ、現在の時価額が20万円以下と評価され、換価処分の対象とならない可能性があります。つまり、すぐに手放さなければならないと焦る必要はない場合が多いのです。
換価処分の判断と破産管財人の役割
最終的にどの財産が換価処分の対象となるかは、破産管財人が個別の財産を評価し、判断します。破産管財人は、客観的な市場価格や中古品としての価値を基準に評価を行うため、感情的な価値や購入時の価格は考慮されません。
また、生活に必要な家具や家電、仕事で使う道具などは、原則として換価処分の対象外となります。
まとめ:諦める前に弁護士へ相談を
趣味のコレクションや高額な道具が多額の借金の原因となってしまい、自己破産を検討している場合、それらの財産を全て失ってしまうのではないかと心配になるのは当然です。しかし、上記のように、購入時の価格だけで判断されるわけではなく、実際の時価額が20万円以下であれば手元に残せる可能性は十分にあります。
自己破産の手続きは複雑であり、個々のケースによって財産の扱いは異なります。ご自身の状況で何が残せて何が残せないのか、また、手続きを進める上でどのような準備が必要になるのかなど、不安な点が多いでしょう。
そのため、自己判断で諦めるのではなく、まずは弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、あなたの財産状況を詳しくヒアリングし、適切なアドバイスを提供することで、不安を解消し、最善の解決策を見つける手助けをしてくれます。
自己破産申立(免責許可)・個人再生申立の注意点
破産手続
債権者
債務の原因
- ギャンブル等のための借入
- ホストクラブ・キャバクラでの浪費(つけ払い対応)
- 趣味のコレクションや高額な道具の購入費用
- 株・信用取引・FXの損失
- ビットコイン等の仮想通貨取引
- 投資詐欺・ポンジスキーム
- 動画配信アプリの投げ銭行為
- 悪意の不法行為 ※主体別に判断して免責を認める考え方